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株価が暴落したら、配当は減るのか

株価が暴落した日、持っている高配当株の配当は減るのでしょうか。過去最大の下げ幅になった 2024 年 8 月 5 日のあとも、配当を減らした銀行は 1 社もなく、メガバンク 3 社はその後も増配を続けました。配当が減ったのは、株価が下がった業種ではなく、利益を崩す出来事が起きた業種でした。

2020 年度、鉄道・バス・トラックなどの陸運業は 2 社に 1 社(55 社中 27 社)が配当を減らしました。同じ年、電力・ガスの会社で減らしたのは 22 社中 1 社だけです。ところが 2 年後の 2022 年度、大手電力は 7 社が無配になり、陸運業で配当を減らした会社は 1 社もありませんでした。何が起きたのでしょうか。

答えは「何が起きたか」です。人が動かなくなったのか、燃料が高くなったのか、金利が上がったのか。起きたことが違えば、崩れる業種も、逆に儲かる業種も入れ替わります。この記事では、上場企業の 10 年分の決算と配当で、その仕組みを追います。

あなたの持ち株が、同じ原因で崩れる銘柄に偏っていないかは、無料の配当管理(新しいタブで開きます)に登録すると、業種別の円グラフで見られます(登録不要)。

数値は EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計したものです(2026 年 10 月 6 日時点・いま上場している会社・東証 33 業種)。年度は決算期が始まった年で、2020 年度は 3 月決算なら 2021 年 3 月期です。数え方は記事の終わりにまとめました。

この記事の内容
  1. どの年に、どの業種が減配したか
  2. 暴落しても配当は減らなかった。暴落がなくても減った
  3. 業績が動いた 6 つの原因と、そのとき儲かった業種
  4. 利益が減っても、配当を減らさなかった会社
  5. 私の考え:ディフェンシブが売られるときは、買う側に回る
  6. あなたの持ち株は、同じ原因に偏っていないか
  7. 次に何か起きたら:ニュースに当てはめる 5 つの問い
  8. 数字を読むときに気をつけること

どの年に、どの業種が減配したか

濃い赤ほど、配当を減らした会社が多かった年です。左端の「平常」は、大きな出来事の無かった年の値です。

0〜4%5〜9%10〜19%20〜39%40%〜

配当を減らした会社の割合(業種別・年度)
業種平常6 年分2020コロナ2021戻り・部材不足2022円安・資源高2024利上げ
人が動かないと崩れた
陸運3%49%0%0%2%
輸送用機器5%60%0%8%4%
鉄鋼18%48%19%3%12%
小売9%36%9%8%5%
サービス9%31%12%9%8%
燃料が高いと崩れた
電気・ガス4%5%10%27%5%
売値で大きく動いた
海運※21%11%0%0%0%
卸売(商社)7%25%7%3%7%
金利で動く
銀行5%20%3%1%0%
保険※2%20%0%0%8%
不動産6%23%6%4%7%
どの年も小さかった
食料品5%11%5%7%3%
化学6%18%4%7%3%
医薬品5%6%6%6%0%
情報・通信7%13%6%9%5%
全体7%26%7%7%6%

※は比べられた会社が 15 社に満たない年がある業種(数字の振れが大きい)。出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 6 日時点)。年度は決算期が始まった年(2020 年度=3 月決算なら 2021 年 3 月期)。平常の年=2016・2017・2018・2021・2023・2025 年度の合計

赤い塊が、年ごとに違う業種へ移っています。鉄道・バス(陸運)や自動車(輸送用機器)が真っ赤なのは 2020 年度だけ。電気・ガスが赤いのは 2022 年度だけです。どの年も色が薄いのは、医薬品・食料品・情報・通信など一部だけです。

ただし、この図に出るのは「減らした側」だけです。たとえば海運は 2021 年度、川崎汽船の配当が無配から 600 円になりましたが、色にはほとんど出ません。儲かった側は、下の「6 つの原因」で見ていきます。

暴落しても配当は減らなかった。暴落がなくても減った

株価の暴落と、配当の減り方は、同じではありません。

2024 年 8 月 5 日、日経平均は 1 日で 4,451 円(12.4%)下がり、過去最大の下げ幅になりました。それでも、その年度に配当を減らした銀行は 79 社中 0 社。三菱 UFJ は、その後も最高益を更新して増配を続けています。

反対に、2022 年度の電力の無配は、株価の暴落から始まったものではありません。燃料の値上がりを、電気料金に移すのが間に合わなかったことが原因です(下の「燃料が高い」で説明します)。この年は売上が増えた会社が全体の 73% もあったのに、減益の会社が 43% ありました。それでも配当を減らした会社は 7% で、平常の年と変わりません。

株価が崩れた日に、業績と配当まで崩れたとは限りません。下落のニュースを見たときに確かめたいのは、株価の下げ幅よりも「何が起きて、どの業種の利益に効くか」です。

出所:三井住友 DS アセットマネジメント「市川レポート」2024-08-06、三菱 UFJ フィナンシャル・グループ 決算短信(2025 年 3 月期・2026 年 3 月期)、業種の数字は当サイトの集計

業績が動いた 6 つの原因と、そのとき儲かった業種

この 10 年に会社の利益を動かした出来事を、原因ごとに 6 つに分けました。1 つの出来事に、いくつもの原因が重なることもあります(コロナ禍なら「人が動かない」と「モノが届かない」)。

人が動かないモノが届かない燃料が高い売値が上がる円が動く金利が上がる

原因 1 人が動かない(2020 年度・コロナ禍)

2020 年度コロナ禍

  1. 人が動かない2020 年 4 月に緊急事態宣言。訪日客は 3,188 万人から 412 万人へ(87.1% 減)
  2. 売上が消える電車・飛行機・ホテル・百貨店。百貨店の販売額は上期だけで 33.1% 減
  3. 費用は残る空の電車も走らせる。線路も駅も人も、すぐには減らせない
  4. 配当165 円 → 100 円JR 東日本(2021 年 3 月期)。ANA は 2 期連続の無配

陸運業全体でも、55 社中 27 社が配当を減らしました。小売業は 291 社中 125 社が赤字です。

儲かった側家で過ごす時間に使うもの。情報・通信業は 2 社に 1 社が増収、ホームセンターの販売額は上期に 7.5% 増えました。

当時の見立て「リモート勤務が広がり、都心のオフィスは要らなくなる」。実際には、東京のオフィス平均空室率は 2021 年 12 月の 6.33% から、2026 年 8 月には 1.87% まで下がりました。

陸運業(新しいタブで開きます)空運業(新しいタブで開きます)小売業(新しいタブで開きます)サービス業(新しいタブで開きます)

出所:自民党(緊急事態宣言)、JNTO「訪日外客数」、経済産業省「ミニ経済分析」2020-10-09、JR 東日本・ANA ホールディングス 2021 年 3 月期 有価証券報告書、三鬼商事「オフィスマーケット」

この原因は、収まると戻りも早い。陸運業は翌 2021 年度、配当を減らした会社が 0 社でした。ただ、戻るまでの耐え方は会社で分かれます。オリエンタルランドは 2021 年 3 月期に約 542 億円の最終赤字でも、年間 26 円の配当を出しました(前の年は 44 円)。

原因 2 燃料が高い(2022 年度・資源高と円安)

2022 年度ウクライナ侵攻・円安

  1. 燃料が高い2022 年 2 月にロシアがウクライナに侵攻。液化天然ガスの輸入額は 1 年で 97.5% 増え、円も 19.5% 安くなった
  2. 料金は後から燃料の値上がりが電気料金に届くのは数か月後(1〜3 月の燃料価格が 6 月の料金に)。家庭向けの料金には上限もある
  3. 売るほど損2022 年 11 月には、大手 10 社すべてが上限に達した
  4. 配当35 円 → 無配東北電力(2023 年 3 月期)。中国・北陸・九州・四国・北海道・沖縄電力も無配

電気・ガス業全体では、24 社中 22 社が増収なのに、8 社が赤字。22 社中 6 社が配当を減らしました。

翌年は逆に回った燃料が下がっても、料金は数か月遅れて下がります。その差で、九州電力は 2024 年 3 月期に 1,664 億円の黒字へ戻り、年間 25 円で復配しました。

当時の見立て「コスト高で減配が広がる」。実際には、2022 年度に配当を減らした会社は全体の 7% で、平常の年並みでした。崩れたのは利益で、配当の多くは持ちこたえました。

電気・ガス業(新しいタブで開きます)食料品(新しいタブで開きます)化学(新しいタブで開きます)

出所:財務省「令和4年分貿易統計(速報)の概要」、資源エネルギー庁『エネルギー白書2023』、日刊工業新聞 2022-11-01、東北電力・中国電力・北陸電力・九州電力 決算短信

食品も、同じ「時間差」で動きました。食料品は 2022 年度、119 社中 78 社が減益。主な食品メーカーの値上げは 2022 年に 25,768 品目、2023 年に 32,396 品目で、値上げが追いついた 2023 年度には、増益の会社が 122 社中 75 社に戻っています(帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査)。

原因 3 売値が上がる(2021〜22 年度・コンテナ運賃)

2021〜22 年度コンテナ不足

  1. モノが動く巣ごもりでモノの消費が増え、港も混雑した
  2. 船が足りない上海発のコンテナ運賃の指数は、2021 年 7 月に初めて 4,000 ポイントを超えた
  3. 合弁会社が稼ぐ日本の海運 3 社が共同で持つコンテナ船会社(ONE)の利益を、出資の割合に応じて取り込む
  4. 配当無配 → 600 円川崎汽船(2022 年 3 月期)。日本郵船は 40 円 → 200 円 → 1,450 円(分割前)

海運業は 2021・2022 年度とも 11 社すべてが増収。ただし運賃が落ち着いた 2023 年度は、11 社すべてが減益でした。

意外な数字川崎汽船の 2022 年 3 月期は、本業の営業利益が 176 億円なのに、経常利益は 6,575 億円でした。差のほとんどが合弁会社からの利益です。営業利益だけを見ていると、この追い風は見えません。

海運業(新しいタブで開きます)卸売業(商社)(新しいタブで開きます)

出所:container-news.com(SCFI)、日本郵船・川崎汽船 有価証券報告書(2022 年 3 月期)

資源の売値が上がったときは、商社が儲かりました。三菱商事は 2023 年 3 月期に当期利益 1 兆 1,806 億円(25.9% 増)で、年間配当を 150 円から 180 円に増やしています。卸売業全体でも 2022 年度は 294 社中 185 社が増益でした。

原因 4 金利が上がる(2024 年度〜・日銀の利上げ)

2024 年度〜マイナス金利の解除

  1. 金利が上がる2024 年 3 月にマイナス金利を解除。その後 0.25%・0.5%・0.75%・1.0% と上げ、2026 年 9 月に 1.25%
  2. 貸す金利は早い貸出の基準の金利は、政策金利とほぼ同じ幅ですぐ上がる
  3. 預かる金利は遅い普通預金の金利は 1 回 0.1% 前後。2024 年 7 月以降は、適用も発表から 1 か月以上あと
  4. 配当41 円 → 86 円三菱 UFJ(2023 → 2025 年度)

銀行業は 2024 年度、82 社中 69 社が増益、配当を減らした会社は 0 社。保険業も 12 社中 11 社が増益でした。

逆向きの年マイナス金利が始まった 2016 年、地方銀行は貸出を 242.0 兆円から 251.0 兆円に増やしたのに、本業の利益(資金利益)が 1,394 億円減りました(2017 年 3 月期)。

当時の見立て「利上げで、借入の多い不動産会社は業績が崩れる」。実際には、不動産業は 2024 年度に 126 社中 89 社が増益でした。下がったのは J-REIT の価格で、2024 年に 8.5% 下落しています。

銀行業(新しいタブで開きます)保険業(新しいタブで開きます)不動産業(新しいタブで開きます)J-REIT の記事

出所:日本銀行 金融政策決定会合の公表文、三菱 UFJ 銀行の金利改定のお知らせ、三菱 UFJ フィナンシャル・グループ 決算短信、金融庁「地域銀行の平成29年3月期決算の概要」、不動産証券化協会 ARES マンスリーレポート 2025 年 1 月

原因 5 モノが届かない(2021〜22 年度・半導体不足)

2021〜22 年度半導体・部材不足

  1. モノが届かない東南アジアのコロナ拡大と半導体工場の火災(ルネサス那珂工場、2021 年 3 月 19 日)で、部品が来ない
  2. 造れないトヨタは 2021 年 9 月に国内 14 工場 27 ラインを止め、国内生産は前年同月の 44.7%(半分以下)に
  3. 費用は残る造れなくても、工場と人の費用はかかり続ける
  4. 利益増収 70% でも増益 39%輸送用機器(2021 年度)。全体の増益は 55%

儲かった側中古車。新車の納車が遅れて中古車を求める人が増え、オークションの平均成約単価は 2022 年 2 月に 100 万 6,000 円と統計開始以来の最高に。翌年 3 月には前年割れに戻り、一時的でした。

輸送用機器(新しいタブで開きます)

出所:EE Times Japan 2021-03-21、トヨタ自動車「2021年8月(追加)及び9月の国内工場の稼働について」・2021 年 9 月の生産実績、時事通信 2022-03-14、日刊工業新聞 2023-04-14

原因 6 円が動く(2022 年度・円安と揺り戻し)

2022 年度円安

  1. 円が安くなる2022 年 10 月 21 日、1 ドル 150.48 円(同年 1 月 4 日は 115.74 円)。政府は 9〜10 月に計 9 兆円を超える円買い介入
  2. 円に直すと膨らむ海外で稼ぐ会社は、同じドルの売上でも円に直すと増える
  3. でも原料も高い輸入する原料・部品も円安で高くなり、部材不足も重なった
  4. 売上増収 88%・減益 46%輸送用機器(2022 年度)。売上には効いたが、利益は半々

当時の見立て「円安は輸出企業の追い風」。売上には確かに効きましたが、利益まで伸びた会社は 4 割ほどでした(78 社中 32 社)。

逆向きの年円高に振れると逆に吹きます。トヨタの 2026 年 3 月期 第 1 四半期の決算資料では、想定レートを 1 ドル 156 円から 145 円に改め、営業利益の増減要因に為替の影響 1,650 億円の減少が並んでいます。

輸送用機器(新しいタブで開きます)卸売業(商社)(新しいタブで開きます)

出所:日本銀行 時系列統計(為替)、財務省「外国為替平衡操作の実施状況」、トヨタ自動車 2026 年 3 月期 第 1 四半期 決算説明資料

輸出企業ばかり、あるいは輸入企業ばかりを持つと、為替の向きひとつで配当の原資がそろって動きます。

利益が減っても、配当を減らさなかった会社

2022 年度は 43% の会社が減益だったのに、配当を減らしたのは 7% でした。差を生むのは、会社ごとの配当の決め方(配当方針)です。

業種が崩れるかどうかと、自分の配当が減るかどうかの間には、会社の配当方針がもう 1 枚はさまっています。会社ごとの見分け方は「減配しない高配当株の見分け方」に書きました。

出所:三菱商事 2015 年度決算資料・株主還元のページ、オリエンタルランド 2022 年 3 月期 決算短信、マツダ 2026 年 3 月期 決算短信、ファナック アニュアルレポート 2019

私の考え:ディフェンシブが売られるときは、買う側に回る

ディフェンシブ(景気に左右されにくい)と呼ばれる業種は、景気がよく他の業種が好調な時期には、お金がそちらへ移って株価が伸び悩むことがあります。これも 1 つのリスクです。

ただ、私はそういう時期こそ、危機のときに配当を守った実績のある会社が、割安な値段で並んでいる時期だと考えています。上のヒートマップで、どの年も色の薄い業種や会社を、みんなが別の業種に夢中になっているときに落ち着いて拾う。それが、配当を目的にした私の買い方です。

あなたの持ち株は、同じ原因に偏っていないか

業種ごとに、この 10 年で崩れた原因と、追い風になった原因をまとめました。持っている銘柄の業種を当ててみてください。

出所:本文の集計と各節の資料。同じ業種でも会社によって違うので、業種で当てはめたあとは 1 社ずつ見てください

あなたの受け取る配当のうち、何割が、同じ原因で崩れる銘柄から来ていますか。業種を 3 つ持っていても、3 つとも「人が動かない」に弱ければ、弱点は 1 つです。どの業種にも何らかの弱点はあるので、避ける必要はありません。大切なのは、同じ弱点を重ねないことです。

配当管理を開いて、保有銘柄の業種の偏りを円グラフで見る 登録不要・無料(新しいタブで開きます)

持っている銘柄は、配当管理に登録すると一覧に業種が出て、業種別の円グラフ(評価額と配当額の構成)で偏りが一目で見られます。登録した内容は、お使いのブラウザにだけ保存されます。新しく候補を探すときは、安心度 B 以上・利回り 3.5% 以上(新しいタブで開きます)で開き、業種の欄で絞り込めます(安心度は、配当が利益と本業の現金で賄えているかなどを点数にした当サイトの独自評価で、A〜D の 4 段階です)。

次に何か起きたら:ニュースに当てはめる 5 つの問い

  1. 止まるのは「量」か「値段」か。人が動かなくなるのか、モノの値段が上がるのか
  2. その会社の売上は、誰が払っているか。国内の個人か、海外の企業か、規制で決まる料金か
  3. コストが上がったら、売値に移すまで何か月かかるか。電気料金のように、仕組みで遅れるものもあります
  4. 借入と現金は、どちらが多いか。金利が上がると、借りている側に効きます
  5. 利益の出どころは本業か。海運のように、合弁会社の利益が大きい会社もあります

数字を読むときに気をつけること

この 10 年に起きた大きな出来事は数回だけです。ここに書けるのは「この原因のときは、こういう業種が崩れた」という仕組みまでで、次にどの業種が崩れるかを言うものではありません。また、いま上場している会社だけを数えています。途中で上場をやめた会社は入っていないので、崩れた側の割合はやや低めに出ている可能性があります。

全体の数字(2019〜2025 年度)

表は横にずらすと続きが見られます

年度 減収 増収 減益 増益 赤字 減配 増配
2019 30% 40% 54% 39% 15% 16% 37%
2020 55% 27% 51% 40% 21% 26% 32%
2021 18% 66% 28% 55% 13% 7% 58%
2022 13% 73% 43% 48% 14% 7% 55%
2023 19% 61% 39% 51% 13% 7% 60%
2024 15% 62% 37% 53% 13% 6% 63%
2025 16% 60% 35% 56% 12% 5% 62%

2019 年度は米中の貿易摩擦で製造業の業績が落ちていたうえ、3 月決算の会社では最後の 2 か月にコロナが重なっています。比べられた会社は年度と項目で違い、2020 年度の減配は 2,651 社、減益は 3,297 社

業種ごとの、増益した会社の割合

表は横にずらすと続きが見られます

業種 2020 年度 2021 年度 2022 年度 2024 年度
陸運業 28% 43% 64% 67%
小売業 36% 36% 31% 50%
サービス業 33% 52% 49% 49%
輸送用機器 27% 39% 41% 43%
電気・ガス業 50% 33% 38% 29%
食料品 47% 55% 32% 55%
化学 52% 69% 47% 52%
鉄鋼 38% 65% 57% 49%
卸売業 42% 61% 63% 58%
海運業 ※ 55% 64% 64% 73%
情報・通信業 47% 56% 48% 51%
医薬品 33% 38% 30% 32%
銀行業 50% 78% 57% 84%
保険業 ※ 58% 58% 46% 92%
不動産業 36% 65% 63% 71%
全体 40% 55% 48% 53%
数えた条件

年度は決算期が始まった年で数えています(2020 年度=3 月決算なら 2021 年 3 月期、12 月決算なら 2020 年 12 月期)。配当はその年度の年間配当(中間と期末の合計)です。減配・増配は、株式分割を調整した 1 株配当が前の年度より 5% 以上減った・増えた年(無配になった年を含み、記念配当の翌年に元へ戻っただけの年は除く)。減益は親会社株主に帰属する当期純利益(連結。連結の無い会社は単体)が前年度を下回った年(赤字の拡大を含む)、増益は前年度の黒字から増えた年、減収・増収は売上が 3% 以上減った・増えた年です。銀行・証券・保険・その他金融は売上を数えていません。会社の数字は各社の有価証券報告書・決算短信から引いています。

付録:33 業種の「平常の年」と「2020 年度」の減配率

2020 年度(人が動かなくなった年)に絞って、33 業種の減配率を「平常の年」と並べました。平常の年は、大きな出来事の年(2019・2020・2022・2024 年度)を除いた 2016・2017・2018・2021・2023・2025 年度です。対象は、いま配当を出している 3,130 社です。2021 年度は「モノが届かない」「売値が上がる」が起きた年ですが、減配は全体で 7% と平常の年と変わらなかったため、平常の年に含めています。全体の平均は、平常の年が 6.4%、2020 年度が 25.6% でした。2020 年度は人が動かなくなった年なので、ここで「強い」業種が、燃料が高くなった年(2022 年度)でも強いとは限りません(電気・ガス業は 2022 年度に 27% が減配)。

0%10%20%0%20%40%60%ゴム製品:平常 1.0%・2020 年度 43.8%ゴム陸運業:平常 3.4%・2020 年度 49.1%陸運電気・ガス業:平常 4.1%・2020 年度 4.5%電気・ガスその他金融業:平常 4.2%・2020 年度 7.1%医薬品:平常 4.4%・2020 年度 6.1%医薬品輸送用機器:平常 4.4%・2020 年度 59.4%輸送用機器ガラス・土石製品:平常 4.7%・2020 年度 28.2%パルプ・紙:平常 4.9%・2020 年度 18.2%食料品:平常 5.0%・2020 年度 11.2%情報・通信業:平常 5.0%・2020 年度 11.1%不動産業:平常 5.1%・2020 年度 22.6%銀行業:平常 5.1%・2020 年度 20.0%繊維製品:平常 5.3%・2020 年度 41.7%建設業:平常 5.5%・2020 年度 17.6%化学:平常 5.8%・2020 年度 17.8%倉庫・運輸関連:平常 6.0%・2020 年度 10.0%非鉄金属:平常 6.2%・2020 年度 44.4%金属製品:平常 6.4%・2020 年度 26.9%その他製品:平常 6.6%・2020 年度 28.4%小売業:平常 6.7%・2020 年度 31.7%卸売業:平常 6.8%・2020 年度 24.7%精密機器:平常 7.2%・2020 年度 18.9%サービス業:平常 7.5%・2020 年度 29.2%電気機器:平常 7.7%・2020 年度 31.0%機械:平常 7.8%・2020 年度 37.7%鉄鋼:平常 17.2%・2020 年度 48.0%鉄鋼証券、商品先物取引業:平常 17.7%・2020 年度 12.0%証券海運業:平常 21.2%・2020 年度 11.1%海運平常の年の減配率 →2020 年度の減配率 →

点は業種。濃い点に名前を付けました(PC では点に重ねると業種名と数字が出ます)。左下の色の付いた範囲が「平常の年も 2020 年度も平均より減配が少ない」業種です。2020 年度に比べられた会社が 15 社未満の業種は、海運業を除いて図から外しています

型 業種(平常の年の減配率・2020 年度の減配率)
平常も
2020 年度も強い
電気・ガス業(4.1%・4.5%)、医薬品(4.4%・6.1%)、その他金融業(4.2%・7.1%)、倉庫・運輸関連(6.0%・10.0%)、情報・通信業(5.0%・11.1%)、食料品(5.0%・11.2%)、建設業(5.5%・17.6%)、化学(5.8%・17.8%)、パルプ・紙(4.9%・18.2%)、銀行業(5.1%・20.0%)、不動産業(5.1%・22.6%)
平常は強いが、2020 年度に崩れた 輸送用機器(4.4%・59.4%)、陸運業(3.4%・49.1%)、ゴム製品(1.0%・43.8%)、繊維製品(5.3%・41.7%)、ガラス・土石製品(4.7%・28.2%)、非鉄金属(6.2%・44.4%)
平常は減配が多いが、2020 年度は少なかった 証券、商品先物取引業(17.7%・12.0%)、海運業(21.2%・11.1%)、精密機器(7.2%・18.9%)、卸売業(6.8%・24.7%)
平常も 2020 年度も減配が多い 鉄鋼(17.2%・48.0%)、機械(7.8%・37.7%)、小売業(6.7%・31.7%)、電気機器(7.7%・31.0%)、サービス業(7.5%・29.2%)、その他製品(6.6%・28.4%)、金属製品(6.4%・26.9%)

出所:同上。2020 年度に比べられた会社が 15 社に満たない業種(保険業・水産・農林業・石油・石炭製品・鉱業・空運業)は型の表から外し、下の全業種の表に載せています。海運業も 2020 年度は 9 件と少ないのですが、入れ替わりの例として残しています。境目の近くにある業種(非鉄金属 6.2%・金属製品 6.4%・卸売業 24.7% など)は、どちらの型とも言える位置です

下の表は横にずらすと続き(安心度・ツールへのリンク)が見られます

業種名の右の「開く」を押すと、その業種で概算利回り 3.5% 以上に絞った状態でツールを開きます(3.5% 以上が 1 社以下の鉱業・電気・ガス業・水産・農林業は、利回りの条件を付けずに開きます)。

業種 平常の年の
減配率
2020 年度の減配率 利回りの中央値 安心度 A・B の割合 ツール
ゴム製品 1.0% 43.8% 3.28% 88% 開く(新しいタブで開きます)
保険業 ※ 1.7% 22.2% 3.13% 75% 開く(新しいタブで開きます)
陸運業 3.4% 49.1% 2.42% 90% 開く(新しいタブで開きます)
電気・ガス業 4.1% 4.5% 2.71% 68% 開く(新しいタブで開きます)
その他金融業 4.2% 7.1% 3.56% 76% 開く(新しいタブで開きます)
医薬品 4.4% 6.1% 2.56% 62% 開く(新しいタブで開きます)
輸送用機器 4.4% 59.4% 3.44% 70% 開く(新しいタブで開きます)
ガラス・土石製品 4.7% 28.2% 3.03% 80% 開く(新しいタブで開きます)
石油・石炭製品 ※ 4.8% 50.0% 3.72% 71% 開く(新しいタブで開きます)
パルプ・紙 4.9% 18.2% 3.21% 70% 開く(新しいタブで開きます)
食料品 5.0% 11.2% 2.15% 75% 開く(新しいタブで開きます)
情報・通信業 5.0% 11.1% 2.45% 77% 開く(新しいタブで開きます)
不動産業 5.1% 22.6% 3.33% 31% 開く(新しいタブで開きます)
銀行業 5.1% 20.0% 2.84% 87% 開く(新しいタブで開きます)
繊維製品 5.3% 41.7% 3.21% 63% 開く(新しいタブで開きます)
建設業 5.5% 17.6% 3.48% 42% 開く(新しいタブで開きます)
化学 5.8% 17.8% 2.87% 82% 開く(新しいタブで開きます)
空運業 ※ 5.9% 50.0% 3.03% 25% 開く(新しいタブで開きます)
倉庫・運輸関連 6.0% 10.0% 3.01% 94% 開く(新しいタブで開きます)
非鉄金属 6.2% 44.4% 2.17% 69% 開く(新しいタブで開きます)
金属製品 6.4% 26.9% 3.25% 64% 開く(新しいタブで開きます)
その他製品 6.6% 28.4% 3.15% 69% 開く(新しいタブで開きます)
小売業 6.7% 31.7% 1.9% 67% 開く(新しいタブで開きます)
水産・農林業 ※ 6.8% 0.0% 2.63% 73% 開く(新しいタブで開きます)
卸売業 6.8% 24.7% 3.29% 60% 開く(新しいタブで開きます)
鉱業 ※ 6.9% 0.0% 2.49% 80% 開く(新しいタブで開きます)
精密機器 7.2% 18.9% 2.33% 77% 開く(新しいタブで開きます)
サービス業 7.5% 29.2% 2.78% 67% 開く(新しいタブで開きます)
電気機器 7.7% 31.0% 2.66% 66% 開く(新しいタブで開きます)
機械 7.8% 37.7% 3.0% 67% 開く(新しいタブで開きます)
鉄鋼 17.2% 48.0% 3.67% 56% 開く(新しいタブで開きます)
証券、商品先物取引業 17.7% 12.0% 5.62% 41% 開く(新しいタブで開きます)
海運業 ※ 21.2% 11.1% 3.31% 64% 開く(新しいタブで開きます)

出所:同上。並びは平常の年の減配率が低い順。※は 2020 年度の件数が 15 件未満で、数字の振れが大きい業種。利回りの中央値は有価証券報告書の決算期末の株価で計算した概算。安心度は、配当が利益と本業の現金で賄えているかなどを点数にした当サイトの独自評価(A〜D の 4 段階)。安心度 A・B の割合は 2026 年 10 月 20 日時点(金融業の安定性の測り方と特別配当・記念配当の扱いを見直した後の点数)。全体の 2020 年度の減配率は、この付録(いま配当を出している 3,130 社)で 25.6%、本文の表(配当をやめた会社を含む)で 26%、「減配しない高配当株の見分け方」(3,199 社)で 27.0% と少しずつ違います。数える会社の範囲の違いで、傾向は同じです

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。当サイトは金融商品取引業の登録を受けておらず、投資助言を行うものではありません。数値は執筆時点で取得したデータに基づく概算・参考値です。株式投資は元本割れの可能性があり、配当は会社の業績等により減配・無配となることがあります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

公開 2026-10-06/更新 2026-10-20/書いた人:ねんりん