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増配株のスクリーニングは何年で切るか

正直に書きます。何年で切るかに、私は根拠を持っていません。10 年・7 年・5 年の 3 つで絞って、それぞれをゆるく評価しているだけです。ただ、2020 年前後だけは別の扱いをしています。

この記事でわかること

数値は EDINET の財務データをもとにした概算・参考値で、取得時点のものです。当ツールの「連続増配・維持」は株式分割を調整した 1 株配当で数えており、さかのぼれるのは最大 14 年です。「増配率」は過去最長 12 年を直近重視で平均した年平均で、単年の増減ではありません。

この記事の内容
  1. 何年で切ればいいのか
  2. 2020 年前後だけは、別の扱いが要る
  3. 私が実際にやっている手順
  4. 連続年数と増配率、どちらを重く見るか
  5. 年数と増配率だけでは決めていません
  6. 私自身の失敗も書いておきます
  7. 使うときに気をつけること

何年で切ればいいのか

当ツールの絞り込みには「連続増配・維持 年数 下限」があります。ここに何を入れるか、という話です。

私は3 回に分けて絞ります。10 年で絞って眺め、7 年で絞って眺め、5 年で絞って眺める。そして次のようにゆるく評価しています。

連続増配・維持 私の評価 該当社数
10 年以上 優良 248 社
7 年以上 良 362 社
5 年以上 可 588 社

概算利回り 3.5% 以上に絞った場合。出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 18 日時点)。ツールで開くと基本の範囲(黒字・PER 40 倍以下・配当性向 100% 以下)に入る会社だけが残るため、10 年以上 231 社・7 年以上 331 社・5 年以上 533 社になります

この 10・7・5 という数字に、具体的な根拠はありません。キリが良いから 3 段階に分けている、というのが正直なところです。「10 年続いたから安全」と言える理屈を私は持っていません。

それでも意味があると考えているのは、続けてきた年数そのものが、会社の姿勢の記録だからです。景気が悪い年も配当を維持した会社は、そういう判断を実際にしてきたということです。理屈ではなく実績です。

2020 年前後だけは、別の扱いが要る

ここが本題です。

過去 10 年で絞ると、2020 年が必ず含まれます。そして 2020 年は、普通の年ではありませんでした。

配当の履歴がある 3,426 社について、前年より 1 株配当が減った年を全部数えました。

減配が起きた年(上場 3,426 社)

分割を調整した 1 株配当が、前年より減った会社数。年度は決算期(2019 年度=2020 年 3 月期を含む)。決算期を変えた年(12 か月でない決算)は比べていません。

2016 年度382
2017 年度280
2018 年度343
2019 年度570
2020 年度840
2021 年度264
2022 年度350
2023 年度318
2024 年度280
2025 年度239
02505007501000社

図に載せた 10 年のうち、2019・2020 年度を除く 8 年は 239 社から 382 社に収まります。そこに対して 2020 年度は 840 社、2019 年度は 570 社。この 2 年だけが明らかな山になっています。
日本企業は 3 月決算が多く、2019 年度は 2020 年 3 月期を含みます。だからコロナの影響はこの 2 年に分かれて出ます。

出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 5 日時点・配当の履歴がある 3,426 社)

この 2 年に減配した会社を条件で外すと、候補が一気に減ります。概算利回り 3.5% 以上の 995 社のうち、385 社(38.7%)がこの 2 年のどちらかで減配しています。約 4 割です。

減配の割合を業種別に見ると、陸運や輸送用機器は 2020 年度に 5〜6 割が減配した一方、医薬品や電気・ガスはほとんど減らしていません。詳しくは「減配しない高配当株の見分け方」で集計しています。

4 割が減配したなら、その会社は「配当を守らない会社」ということでは。外して当然に思えますが。

もっともな疑問です。私も最初はそう考えて外していました。やめた理由は 2 つあります。

1 つは、候補が減りすぎて分散が作れなくなること。航空・鉄道・外食・小売など、人が動かなくなった業種がまとめて消えます。残るのは通信・医薬・電力あたりに偏り、業種の分散が成立しなくなります。配当の安定を求めているのに業種が偏っては本末転倒です。

もう 1 つは、あの年の減配が経営の失敗とは限らないこと。売上が消えた状況で配当を維持するほうが、むしろ会社を危うくした可能性があります。手元の現金を守った判断を、後から「配当を守らなかった」と責めるのは酷だと思うようになりました。

そこで私は条件では外さず、個別に見るようにしています。

私が実際にやっている手順

  1. まず 10 年で絞る(248 社)。ここに残る会社は、当ツールがさかのぼれる範囲では、コロナ禍でも配当を減らさなかった会社です
  2. 次に 7 年、5 年と緩める(362 社 → 588 社)。増えた分の多くは、2019・2020 年度に減配して連続記録が途切れた会社です
  3. 増えた会社を 1 社ずつ、減配した年で判断する。2019・2020 年度だけなら候補に残し、それ以外の年に減配しているなら外す

3 番目が肝です。平時に減配している会社と、コロナ禍で減配した会社を、同じ扱いにしないということです。

銘柄詳細を開くと配当の推移がグラフで出ます。山の位置が 2020 年前後にあるのか、それとも別の年にあるのか。見るのはそこです。

10 年以上(優良)で絞ってツールを開く コロナ禍でも配当を減らさなかった会社が残ります(新しいタブで開きます)

5 年以上(可)まで広げて開く 増えた分を、減配した年で 1 社ずつ見ていく使い方です(新しいタブで開きます)

連続年数と増配率、どちらを重く見るか

これはよく迷うところです。私は連続年数のほうを重く見ます。

ただし絶対ではありません。ある程度の期間が積み上がっていれば、増配率の高さを強く評価する場合があります。

たとえば次の 2 つで考えてみます。

A 株 B 株
連続増配・維持 10 年 5 年
増配率(年平均) 3% 15%

年数だけ見れば A 株です。しかし本業がしっかり伸びていて、配当性向も同程度なら、私は B 株もしっかり評価します。5 年でも十分に「続ける意思」は見えますし、増配率 15% が本業の成長に裏打ちされているなら、10 年 3% より将来の配当は大きくなります。

条件を変えると、候補の数はこう動きます。

条件(概算利回り 3.5% 以上) 該当社数
10 年以上 かつ 増配率 3% 以上(A 株型) 230 社
5〜9 年 かつ 増配率 15% 以上(B 株型) 165 社
10 年以上 かつ 増配率 10% 以上(両取り) 176 社

出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 18 日時点・概算利回り 3.5% 以上)

両取りが 176 社あります。A 株型と B 株型で悩む前に、まずここを見るのが早いかもしれません。

なお、概算利回り 3.5% 以上の 989 社について増配率を並べると、下から 4 分の 1 が 7.6%、中央値が 13.2%、上から 4 分の 1 が 19.8% です。「増配率 3%」は緩い条件、「15%」はかなり厳しい条件、という感覚を持っておくと使いやすいと思います。

出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 18 日時点・概算利回り 3.5% 以上で増配率を算出できた 989 社)

10 年以上 かつ 増配率 10% 以上で開く 年数と増配率の両取りです。169 社に絞られます(記事のリンクで開いたときの社数・2026 年 10 月 18 日時点)(新しいタブで開きます)

年数と増配率だけでは決めていません

ここまで年数と増配率の話をしてきましたが、私はこの 2 つだけで判断していません。配当性向、営業キャッシュフロー、財務の厚み。合わせて見ています。

理想を言葉にすると、こうなります。

最後の 1 つが抜けている会社は、借入や資産売却で配当を出している可能性があります。銘柄詳細では営業キャッシュフローの推移もグラフで出しているので、そこを見てください。

当ツールが配当の安心度(A〜D)を出しているのは、この「合わせて見る」を機械的にやるためです。年数だけ、増配率だけでは見えない部分を、6 つの要素で採点しています。ただし安心度 A は「買い」という意味ではありません。過去の実績から続けやすさだけを点数化した目安で、将来の配当を保証するものではありません。

私自身の失敗も書いておきます

偉そうに書いてきましたが、私が買った銘柄にも無配になったものがあります。ANA ホールディングス(9202・全日空)です。

年度 当ツールに記録がある 1 株配当
2018 年度 75 円
2019〜2022 年度 0 円(無配)
2023 年度 50 円
2024 年度 60 円
2025 年度 65 円

出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(分割調整後・2026 年 10 月 5 日時点)。
2019〜2022 年度は、有価証券報告書の 1 株配当の欄が「-」(無配)です。

ピークの 75 円に対して直近は 65 円。それでも 4 年間、配当はまったく出ませんでした。

売らなかった理由を正直に書きます。

2 番目は褒められたものではありません。さっさと売って別の銘柄に買い換える選択も、間違いではなかったと思います。この辺りは私の判断の甘さだと自分では思っていて、それでもこのまま持ち続けることになりそうです。

書きたかったのは、連続増配の記録は途切れるときには途切れるということです。10 年で絞ろうが 5 年で絞ろうが、それは過去の記録であって、将来の保証ではありません。だから 1 銘柄に集中せず、分散を崩さないことのほうが大切だと考えています。

なお、2026 年 10 月 5 日時点で当ツールを見ると「維 2 年・概算利回り 2.32%」です(概算利回りは有価証券報告書にある決算期末の株価で計算しています)。この記事で使っている絞り込み(利回り 3.5% 以上)には出てきません。スクリーナーは条件に合う会社を並べる道具であって、会社の良し悪しを判定する道具ではない、ということでもあります。

使うときに気をつけること

さかのぼれるのは最大 14 年です。「14 年以上」で絞ると該当がほとんど無くなりますが、それは日本に長期増配企業が少ないという意味ではなく、当ツールのデータが 14 年しか無いという意味です。10 年か 12 年で止めておくのが実用的です。

増配率は単年ではありません。過去最長 12 年を直近重視で平均した参考値です。1 年だけ大きく増配した会社が上位に来にくいように作っています。

市況で配当が動く業種は割り引いて見てください。海運・鉄鋼・非鉄金属・石油石炭・商社・証券・空運は、好況期の増配率が実力以上に出ます。該当銘柄の詳細には注意書きを出しています。

すでに持っている銘柄を確かめたいときは、絞り込みではなく銘柄コードで検索してください。詳細画面で配当の推移・安心度・営業キャッシュフローをまとめて確認できます。

本記事で挙げた個別の企業名は、私自身の保有と失敗の記録として挙げたものです。売買を推奨するものではありません。記事の執筆時点で、私はこの銘柄を保有しています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。当サイトは金融商品取引業の登録を受けておらず、投資助言を行うものではありません。数値は執筆時点で取得したデータに基づく概算・参考値です。株式投資は元本割れの可能性があり、配当は会社の業績等により減配・無配となることがあります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

公開 2026-08-10/更新 2026-10-05/書いた人:ねんりん