高配当株スクリーナー配当の安心度(A〜D)で選ぶ

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減配しない高配当株の見分け方

結論から書きます。減配のしにくさをいちばんよく分けたのは、「配当を減らさずに続けてきた年数」でした。5 年以上続けてきた会社の減配率は、2 年以下の会社のおよそ半分です。反対に、よく言われる「営業キャッシュフローがマイナスなら危ない」は、減配を先に知らせてくれる指標ではありませんでした。多くは減配と同じ年に悪くなります。

この記事でわかること

数値は EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計したものです(2026 年 10 月 5 日時点)。対象は銀行・証券・保険・その他金融を除く上場 3,199 社、2016〜2025 年度の「年度×会社」26,468 件です。減配は、1 株配当が前年度より 5% 以上減った年としました(株式分割・記念配当・決算期の変更の扱いは、記事の最後にまとめています)。当ツールは、条件を入れて銘柄を絞り込む無料の高配当株スクリーナーです(登録不要)。

この記事の内容
  1. 減配は、どのくらい起きているのか
  2. いちばん効いたのは「続けてきた年数」
  3. 営業キャッシュフローは「先に」は知らせてくれない
  4. 業種によって、「平時に強い」と「危機に強い」は別
  5. スクリーナーで、減配しにくい候補を絞る手順
  6. 数え方と、数字を読むときの注意

減配は、どのくらい起きているのか

まず全体像です。配当を出している会社のうち、1 年のあいだに減配した会社の割合を年度ごとに出しました。

年度ごとの減配率(金融を除く上場企業)

その年度に、前年度より 1 株配当が 5% 以上減った会社の割合。年度は決算期の開始年(2020 年度=2021 年 3 月期など)。

2016 年度9.8%
2017 年度7.4%
2018 年度8.0%
2019 年度15.7%
2020 年度27.0%
2021 年度7.0%
2022 年度7.2%
2023 年度7.2%
2024 年度6.3%
2025 年度5.3%

平常の年なら、減配するのは 10〜20 社に 1 社です(5〜10%)。ところが 2019・2020 年度は 15.7%・27.0% まで跳ね上がりました。2019 年度(2020 年 3 月期など)は、期末の配当を決める時期がコロナ禍の始まりに重なった年です。減配は、毎年ぽつぽつ起きるものと、景気の急変でまとめて起きるものの 2 種類があるということです。

この 2 種類を分けて考えるのが、この記事の軸になります。

いちばん効いたのは「続けてきた年数」

減配した年の直前まで、何年続けて配当を減らさずにきたかで分けると、減配率ははっきり分かれました。

直前まで増配・維持を
続けた年数
件数(年度×会社) 減配率
0〜2 年 10,291 14.3%
3〜4 年 6,528 7.9%
5 年以上 9,649 6.9%

出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 5 日時点)

5 年以上続けてきた会社の減配率は、2 年以下の会社のおよそ半分です。

理由は単純だと考えています。減配をせずに 5 年続けたということは、その間にあった不況や業績の谷を、配当を守る判断で越えてきたということです。将来の約束ではありませんが、その会社が配当をどう扱ってきたかの記録にはなります。

当ツールの「連続増配・維持 年数」は、この「減らさずに続けてきた年数」です(株式分割を調整した 1 株配当で数えています)。

連続増配・維持 5 年以上で絞ってツールを開く 概算利回り 3.5% 以上なら 533 社が残ります(記事のリンクで開いたときの社数・2026 年 10 月 20 日時点)(新しいタブで開きます)

営業キャッシュフローは「先に」は知らせてくれない

「配当は営業キャッシュフロー(本業で稼いだ現金)から払うのだから、営業 CF がマイナスの会社は危ない」とよく言われます。数えてみると、半分正しく、半分は違いました。

営業キャッシュフロー プラスの年の減配率 マイナスの年の減配率
同じ年度の営業 CF 8.8% 23.2%(約 2.6 倍)
前年度の営業 CF 9.4% 14.1%(約 1.5 倍)

出所:同上。営業 CF の年度と配当の年度は同じ決算期で揃えています

同じ年度の営業 CF がマイナスだと、減配率は約 2.6 倍になります。ここまでは通説どおりです。

ところが、前年度の営業 CF がマイナスだった会社の減配率は、1.5 倍にとどまります。つまり営業 CF の悪化は、多くの場合減配と同じ年に起きています。有価証券報告書で「今期の営業 CF がマイナスだった」と分かったときには、その年の配当はもう決まっていることが多いのです。

前年度に分かるサインとしては、配当性向が 70% を超えている(赤字を含む)会社のほうが、翌年度の減配を多く拾えます。翌年度に減配した会社のうち、前年度に配当性向 70% 超か赤字だったのは約 4 分の 1、前年度の営業 CF がマイナスだったのは 1 割強です(配当性向と減配の関係は配当性向の記事で集計しています)。

先回りして見るなら、1 年分の営業 CF のプラス・マイナスより、何年かのあいだ安定してプラスを続けているかのほうが役に立ちます。当ツールの「配当の安心度(A〜D)」は、営業 CF が赤字の期が何回あったか・振れ幅が大きくないかも点数に入れています。

安心度は、配当が利益と本業の現金で賄えているか・財務の体力・配当と本業の現金のブレの小ささ(金融業は配当がいちばん大きく下がった幅)・伸びているか・ROE・配当を続けてきた年数の 6 つを点数にした、当サイトの独自評価です。B 以上は全体のおよそ 3 分の 2 です。決め方は、ツールの「安心度(A〜D)とは?」から読めます。

維持 5 年以上・安心度 B 以上で絞って開く 概算利回り 3.5% 以上なら 412 社が残ります(記事のリンクで開いたときの社数・2026 年 10 月 20 日時点)(新しいタブで開きます)

業種によって、「平時に強い」と「危機に強い」は別

最後に業種です。平常の年の減配率と、コロナ禍の 2020 年度の減配率を並べると、同じ「減配しにくい業種」でも性格が分かれます。

業種ごとの減配率(業種名の行=平常の年/その下の濃い棒=2020 年度)

平常の年=2016〜2025 年度のうち 2020 年度を除く。

医薬品3.9%
2020 年度6.1%
電気・ガス7.2%
2020 年度4.3%
食料品4.9%
2020 年度11.2%
陸運3.2%
2020 年度48.2%
輸送用機器7.4%
2020 年度61.6%
鉄鋼17.2%
2020 年度48.0%

出所:同上。配当を出している会社が 15 社以上ある業種から抜粋

陸運は、平常の年なら最も減配しにくい業種の一つです(3.2%)。ところがコロナ禍では 5 割近い会社が減配しました。移動が止まると収入が一気に落ちる業種だからです。一方、医薬品は平常の年も 2020 年度も低く、電気・ガスは 2020 年度も 4.3% にとどまりました。

実際の会社で、配当の推移を 2 つ並べてみます(株式分割を調整した 1 株配当・年度は決算期の開始年)。

年度 2014 2019 2020 2021 2024 2025
東日本旅客鉄道(陸運) 40 円 55 円 33.3 円 33.3 円 60 円 74 円
アステラス製薬(医薬品) 30 円 40 円 42 円 50 円 74 円 78 円

出所:EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 5 日時点)

東日本旅客鉄道は、2014〜2019 年度に配当を一度も減らさず増やしてきましたが、2020 年度に約 4 割減配しました。2019 年度の水準を超えたのは 2024 年度です。平常の年の記録だけを見ていると、この落ち込みは読めません。アステラス製薬は 2014〜2025 年度に毎年増配し、2020 年度も 40 円から 42 円に増やしています。

どちらも 2019 年度の時点では「5 年以上減らさずに続けてきた会社」でした。違いを分けたのは、業種が危機にどれだけさらされるかでした。ツールで社名を検索すると、配当の推移のグラフで同じ形を確かめられます。

「ディフェンシブ(景気に左右されにくい)業種」と一口に言っても、平時の安定と危機への耐性は別の性質です。高配当株を何社か持つなら、危機にも強い業種を混ぜておくと、まとめて減配される年の痛みが小さくなります。

当ツールの銘柄一覧では、業種の頭に色の点で「守り(ディフェンシブ)」「攻め(景気敏感)」の目安を出しています。

スクリーナーで、減配しにくい候補を絞る手順

ここまでの結果を、当ツールでの手順にするとこうなります。

  1. 概算利回り 3.5% 以上で絞る(885 社)
  2. 連続増配・維持 5 年以上を足す(533 社)。この記事でいちばん効いた条件です
  3. 配当の安心度 B 以上を足す(412 社)。営業 CF の安定性や財務の体力も含めた目安です
  4. 残った会社の詳細を開き、配当の推移で 2020 年度前後に何が起きたかと、営業キャッシュフローの推移を見る
  5. 業種が偏っていないかを確かめる(危機に強い業種が混ざっているか)

いま持っている銘柄は、ツール上部の検索欄に会社名かコードを入れると、続けてきた年数と安心度をそのまま確かめられます。

社数は 2026 年 10 月 20 日時点で、記事のリンクから開いたときの数です。ツールの基本の範囲(黒字・PER 40 倍以下・配当性向 100% 以下)に入る会社だけを数えています。概算利回りは、各社の有価証券報告書にある決算期末の株価で計算しています。新しい有報が出るたびに変わります

手順 1〜3 の条件をまとめて入れて開く ここから 4・5 を 1 社ずつ確かめます(新しいタブで開きます)

数え方と、数字を読むときの注意

記念配当・特別配当の翌年は、減配に数えていません。前年だけ記念配当で増え、翌年に元の水準へ戻った会社は、実質的には配当を守っています。ツールの配当の推移では、こうした年が山の形で出ます。

株式分割は調整済みです。分割した会社は過去の配当を「いまの株数」で割り戻して比べています。分割を調整しないと、1 株を 2 株に分けた年に配当が半分に見え、減配と取り違えます。

決算期を変えた年は比べていません。9 か月決算などの年は配当が少なく見えるため、その前後の 12 か月決算どうしを比べています。当ツールでは、配当の推移に「決算期変更」と表示しています。

これは過去の集計です。続けてきた年数が長い会社でも減配はあります(5 年以上の会社でも 6.9%)。だからこそ、条件で絞ったあとは 1 社に集中させず、何社かに分けて持つことが大切だと考えています。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。当サイトは金融商品取引業の登録を受けておらず、投資助言を行うものではありません。数値は執筆時点で取得したデータに基づく概算・参考値です。株式投資は元本割れの可能性があり、配当は会社の業績等により減配・無配となることがあります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

公開 2026-10-05/更新 2026-10-20/書いた人:ねんりん