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J-REIT(不動産投資信託)とは?

J-REIT(ジェイリート)は、投資家から集めたお金と銀行からの借入で、オフィスやマンション、倉庫、ホテルなどの不動産を買い、入ってくる家賃のほとんどを「分配金」(株の配当にあたるもの)として投資家に配る仕組みです。証券取引所に上場していて、「投資口」(株でいう 1 株にあたる単位)を、株と同じように 1 口から売り買いできます。

株との一番の違いは、利益をほとんど手元に残さないことです。そのため物件を増やすときは、借入か、新しい投資口の発行に頼ります。金利が上がると利払いが増え、投資口の価格が下がると新しい投資口を出しにくくなる。J-REIT の値動きと分配金は、この 2 つに強く左右されます。

金利が上がっている今、買って大丈夫か。それを判断する材料として、下の 3 つを自分の銘柄で確かめてみてください。2026 年 10 月 7 日時点で、この記事の前兆 4 つのうち 3 つ以上が重なる銘柄はありません。そのうえで、前兆が 2 つ重なる銘柄は 4 つあり、記事の後半で名前と数字を挙げています。

結論:どれを、いつ買うか

数値は EDINET の有価証券報告書をもとに当サイトが集計したものです(2026 年 10 月 7 日時点・上場 58 銘柄・各銘柄の最新期は 2025 年 12 月期〜2026 年 5 月期)。格付は JCR の J-REIT 格付一覧と各社の有価証券報告書(同日取得)です。当ツールは、条件を入れて銘柄を絞り込む無料の高配当株スクリーナーです(登録不要)。

この記事の内容
  1. 株と何が違うのか
  2. 自分で不動産を買うのと何が違うのか
  3. 用途で性質がまったく違う
  4. 金利が上がると、何が起きているか
  5. 分配金を、何で払っているか
  6. 危ない J-REIT の前兆
  7. 結局、いつ・どの銘柄を買えばいいのか
  8. J-REIT タブで、自分の銘柄を見る
  9. 数字を読むときに気をつけること
最低限、ここだけ見る 3 つ

株と何が違うのか

利益の 90% を超えて分配すると、配った分を利益から差し引けるので、法人税がほぼかからない仕組みです※。どの J-REIT もこの条件を満たすように、利益のほとんどを分配金に回しています。

※租税特別措置法 67 条の 15 第 1 項第 2 号ホ。90% を測る「利益」は政令で計算する配当可能利益で、ほかに上場や資産運用会社への委託などの要件もあります。

株の会社なら、利益の一部を手元に残して設備や新しい事業に使えます。J-REIT はそれがほぼできません。そこから次の流れが生まれます。

J-REIT の仕組み

  1. 家賃が入る物件の家賃から、管理費・税金・減価償却などを引いた残りが利益になる
  2. ほぼ全部を配る利益の 90% 超を分配金に。手元にお金がほとんど残らない
  3. 借りるか、増資する物件を増やすときは、銀行からの借入か、新しい投資口の発行で資金を集める
  4. 効くもの金利と投資口の価格金利が上がると利払いが増える。1 口の値段が下がると、増資で 1 口の取り分が薄まる

投資口の価格は、株でいう株価にあたる「1 口の値段」です。この値段が下がっているときに物件を買うお金を増資で集めると、同じ金額を集めるのにより多くの口数を出すことになります。口数が増えた分、今持っている人の 1 口あたりの財産と分配金の取り分が薄まります。J-REIT が物件を増やしにくくなるのは、借入の利払いが重くなるときと、この 1 口の値段が下がっているときの 2 つです。

この記事で使う言葉を 2 つだけ先に書いておきます。LTV は、総資産に占める借入の割合です(借入の重さ)。鑑定評価は、不動産鑑定士が決算期ごとに出す物件の評価額で、帳簿の値段(帳簿価額)より高いことが多く、その差が「含み益」です。

自分で不動産を買うのと何が違うのか

J-REIT を買うことは、不動産を間接的に持つことです。オフィスやマンションを自分で買う代わりに、それらを持つ投資法人の投資口を買い、家賃から分配金を受け取ります。

表は横にずらすと続きが見られます

比べる点 J-REIT 自分で不動産を買う
必要なお金 1 口 約 4 万〜34 万円
(真ん中の値 約 13 万円)
物件の価格と諸費用
多くは借入を組む
売るとき 取引所が開いていれば、
その日のうちに売れる
買い手を探すところから
時間がかかる
物件の数 1 口で、投資法人の全物件に分けて持つ
11〜343 物件(真ん中の値 61 物件)
買った物件だけ
空室や修繕の影響をそのまま受ける
選定と管理 運用会社が仕入れ、管理する 自分で探し、管理する
(管理会社に任せることもできる)
借入 投資法人が借りる。投資家個人は借金を負わない
LTV 38〜54%(真ん中の値 約 47%)
自己資金の何倍もの借入で買える(レバレッジ)
金利と返済は自分が負う
税金 分配金は配当として課税される
NISA の口座なら非課税
減価償却費や借入の利息を経費にできる
不動産の所得が赤字なら、給与などの所得と相殺できる場合がある

出所:J-REIT の欄は当ツールの J-REIT データ(58 銘柄)と各投資法人の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 7 日)。1 口の値段は有価証券報告書の月別の投資口価格で、銘柄によって 2025 年 11 月〜2026 年 7 月の値。物件の数は最新の決算期(56 銘柄)

自分で買う不動産投資の強みは、借入で大きな物件を持てることと、経費で税金を抑えられることです。その代わり、借入の金利が上がれば返済がそのまま重くなります。変動金利で借りている人は、利上げのたびに支払う利息が増えます。また、家賃に対して値段の手ごろな、条件のよい物件ほど早く買い手がつくので、個人がそうした物件を手に入れるのは簡単ではありません。

J-REIT の強みは、少ないお金で、たくさんの物件に分けて持て、すぐに売れることです。物件探しも管理も運用会社が行います。ただし、J-REIT も投資法人として借入をしているので、金利が上がると利払いが増える点は同じです(後の「金利が上がると、何が起きているか」で、その増え方を見ます)。

用途で性質がまったく違う

J-REIT は、何に投資しているか(用途)で、家賃の決まり方も、景気への強さもまったく違います。58 銘柄を用途ごとに分けて、真ん中の銘柄の値を並べました。

「分配金のぶれ」は、分配金が平均からどれだけ上下するかを割合で表したものです(減った割合ではありません)。ホテルの 65.8% は、ほかの用途(1.8〜10.8%)の約 6〜37 倍で、分配金が大きく増えたり減ったりする用途だということです。

表は横にずらすと続きが見られます

用途(銘柄数) 家賃の決まり方 分配金のぶれ コロナ禍の分配金(2019 年比) コロナ禍の値下がり
ホテル(5) 長期契約+売上連動の家賃 65.8% 0.21 倍 −65.1%
住宅(7) 2 年ごとの更新が多い 8.9% 1.02 倍 −43.1%
オフィス(9) 2 年以上の契約・更新時に交渉 4.8% 1.02 倍 −54.1%
物流(8) 長期契約・物価連動の条項が増えている 10.8% 1.02 倍 −45.8%
商業(3) 原則 20 年などの長期・固定 1.8% 1.04 倍 −49.7%
ヘルスケア(1) 残り 10 年以上の固定 3.2% 0.89 倍 −44.1%
総合(25) 組み合わせ次第 7.6% 0.94 倍 −55.0%

出所:各投資法人の有価証券報告書(2019 年 7 月期以降・EDINET・2026 年 10 月 7 日取得)をもとに当サイトが集計。数字は用途ごとの中央値。分配金のぶれ=直近 10 期の 1 口当たり分配金の変動係数(標準偏差 ÷ 平均)。コロナ禍の分配金=2020 年 4 月〜2022 年 3 月に期末が来た期の最も低い分配金 ÷ 2019 年に期末が来た期の平均。値下がり=有価証券報告書の決算期ごとの最高・最低の投資口価格で、コロナ前(2019 年〜2020 年 8 月に期末が来た期)の最高値から、コロナ禍(2020 年 3〜12 月に期末が来た期)の最安値までの下落(価格が取れた 41 銘柄)。家賃の決まり方の出典は記事の終わりにまとめました。ホテル・商業・ヘルスケアは 1〜5 銘柄で、個々の銘柄の事情で数字が動きやすい用途です

値下がりと分配金の減り方は、別物でした。コロナ禍には、どの用途も投資口の価格が 4〜7 割(43〜65%)下がりました。ところが分配金がほぼ止まったのはホテルだけで、オフィス・住宅・物流・商業は 2019 年並みを保っています。価格は市場全体の売りで一緒に下がり、分配金は「家賃が実際に止まったか」で決まります。

ホテルは家賃の一部が客室の売上に連動するので、ほかの用途の決まった額の家賃に比べて、分配金が大きくぶれやすい用途です。人が動かなくなると家賃も止まります。その代わり、物価や客足が戻る時期には家賃も上がりやすく、利払いの伸び(+54.3%)に家賃収入の伸び(+46.3%)がほぼ追いついている、ただ 1 つの用途でした(次の「金利」の節で詳しく見ます)。

家賃を上げられる速さは、ホテル、住宅(2 年ごとの更新)、オフィス、物流、商業・ヘルスケア(長期の固定)の順です。物流は、契約の途中でも物価に合わせて家賃を見直せる条項を入れる銘柄が増えています。

分配金のぶれが大きいホテルで増えるときの伸びを取りにいく(攻める)か、ぶれの小さい物流や住宅で安定を取る(守る)かは、次の記事「J-REIT は分配金が安定していると聞くが、本当か」で、用途ごとの分配金の推移を詳しく見ています。

金利が上がると、何が起きているか

利払いは、どの用途でも家賃より速く増えています。2024 年 3 月にマイナス金利が解除されてから、日本銀行の政策金利は 2024 年 7 月に 0.25%、2025 年 1 月に 0.5%、12 月に 0.75%、2026 年 6 月に 1.0%、9 月に 1.25% と上がりました。

マイナス金利の解除の直前の決算期を 100 として、最新の決算期の家賃収入と利払いを比べると、56 銘柄の合計で家賃収入は 112、利払いは 151 になりました。家賃が 1 割増える間に、利払いは 5 割増えています。

家賃収入と利払い(2024 年 3 月より前の最後の期=100)

薄い棒が家賃収入、濃い棒が利払い。点線が基準の 100

全体(56 銘柄の合計)

家賃112
利払い151

用途ごと(各用途の銘柄の合計)

オフィス 家賃106
オフィス 利払い157
住宅 家賃102
住宅 利払い149
物流 家賃105
物流 利払い137
商業 家賃105
商業 利払い139
ホテル 家賃151
ホテル 利払い185
総合 家賃118
総合 利払い151

どの用途でも、利払いの伸びが家賃の伸びを大きく上回っています。家賃の伸びが利払いに近いのは、家賃の一部が売上に連動するホテルだけです。

出所:各投資法人の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 7 日)。利払い=支払利息・投資法人債利息・融資関連費用の合計。家賃収入=不動産賃貸事業収益。2024 年 3 月より前の最後の期と最新の期を、期の長さが同じ 56 銘柄で比べた合計。ヘルスケア(1 銘柄:家賃 108・利払い 148)は表のみ

金額で見ると、1 期(多くは半年)あたりの増え方は次のとおりです。

用途(銘柄数) 家賃収入の増加 利払いの増加
全体(56) +852 億円(7,018 → 7,870 億円) +189 億円(370 → 559 億円)
総合(25) +554 億円 +90 億円
ホテル(3) +131 億円 +18 億円
オフィス(9) +83 億円 +35 億円
物流(8) +48 億円 +18 億円
商業(3) +19 億円 +5.5 億円
住宅(7) +16 億円 +21 億円
ヘルスケア(1) +2 億円 +1.0 億円

出所:同上。家賃収入の増加には、物件を買い増した分も含まれます

住宅では、利払いの増加額が家賃の増加額を上回りました。ほかの用途は家賃の増加額のほうが大きいものの、その中には物件を買い増した分の家賃も入っています。物件を増やせば、その分の家賃と一緒に、管理費や税金などの費用も増えます。

銘柄ごとの伸びの真ん中の値で見ると
用途 利払いの伸び 家賃収入の伸び
商業 +64.6% +9.6%
ホテル +54.3% +46.3%
オフィス +51.5% +6.0%
ヘルスケア +48.3% +7.9%
住宅 +41.8% +4.7%
総合 +40.1% +12.1%
物流 +36.2% +0.7%

出所:同上(銘柄ごとの伸びの、用途ごとの中央値)

自分の分配金にどれだけ響くかは、「家賃収入 100 円のうち、利払いに回る分」で見ると分かります。同じ期間に、その分は次のように増えました。利払いに回った分だけ、分配金に回せるお金が減ります。

家賃収入 100 円のうち、利払いに回る分

用途 2024 年 3 月より前 最新
オフィス 5.2 円 7.9 円
住宅 6.2 円 10.1 円
物流 4.7 円 6.6 円
商業 4.6 円 5.4 円
ホテル 9.0 円 10.4 円
ヘルスケア 8.1 円 11.2 円
総合 6.0 円 7.8 円

出所:同上(利払い ÷ 不動産賃貸事業収益の用途ごとの中央値)

J-REIT の借入は、金利を固定して数年ごとに借り換えるのが普通です。56 銘柄の真ん中の値は、平均の金利 0.95%、返済までの残り 3.5 年で、3 年以内に借り換える借入が約 45% あります。借り換えるたびに、新しい金利に置き換わっていきます。

出所:日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2024 年 7 月 31 日、2025 年 1 月 24 日・12 月 19 日、2026 年 6 月 16 日・9 月 18 日)。借入は各投資法人の最新の有価証券報告書の借入金明細表を当サイトが集計(明細の合計が貸借対照表の借入金と一致した 56 銘柄。投資法人債は含まない)

返済までの年数と金利の差は、銘柄の体力の差としてはっきり出ます。東海道リート投資法人(2989)は返済までの残りが平均 1.54 年で、3 年以内に借り換える借入が 92.8% です。日本ビルファンド投資法人(8951)は 4.82 年、平均の金利 0.63% でした。

固定金利の比率(確かめられた 28 銘柄)

固定金利の比率が決算説明資料や有価証券報告書で確かめられたのは 28 銘柄で、真ん中の値は 83.6% でした。50% を下回るのは、東海道リート投資法人(2989)の 6.6% と、エスコンジャパンリート投資法人(2971)の 22.9%(いずれも 2026 年 7 月期)の 2 銘柄です。変動金利が多いほど、目先の金利は低く抑えられる一方、利上げの影響を早く受けます。比率を下げている銘柄もあり、トーセイ・リート投資法人(3451)は 93.9%(2025 年 4 月期)から 84.2%(2026 年 4 月期)になりました。ほかの銘柄は、各投資法人の決算説明資料の「財務の状況」のページで確かめられます。

出所:各投資法人の決算説明資料・有価証券報告書(2026 年 10 月 7 日取得)

分配金を、何で払っているか

結論から書きます。56 銘柄のうち 41 銘柄は、家賃の稼ぎで分配金を払っています。売却益も使っている 14 銘柄も、いずれも帳簿価額より高く売っていて、11 銘柄は売った額以上の物件を買っていました。売却益で配りながら資産の規模が縮んでいる銘柄は、ありませんでした。

ここが、J-REIT で一番見落とされやすいところです。J-REIT は、物件を売った利益(売却益)を分配金に上乗せできます。2024 年 3 月以降に分配金を 5% を超えて減らした 24 件のうち 16 件は、前の期より売却益が減った(なくなった 4 件を含む)反動でした。分配金の金額だけを見ていると、家賃の稼ぎが利払いに押されていることに気づけません。

では、売却益で分配金を出すのは、物件を減らしながら配っているのでしょうか。56 銘柄(決算期が足りない 2 銘柄を除く)を、次の 4 つに分けました。

表は横にずらすと続きが見られます

型 銘柄数 中身
A 物件を減らさず、家賃の稼ぎで払う 41 売却益は分配金の 1 割未満が中心
B 売却益も使うが、資産の規模は保っている 14 売りながら同じくらい買っている(入れ替え)
C 売却益で払い、資産の規模が縮んでいる 0 —
D 赤字・無配の期がある 1 サンケイリアルエステート投資法人(2972)

出所:各投資法人の有価証券報告書(多くは 2021 年 → 最新期)をもとに当サイトが集計

型の分け方

売却益を使っている 14 銘柄は、いずれも帳簿価額より高く売っていて、11 銘柄は売った額以上の物件を買っていました。売った値段を、売る直前の鑑定評価と比べると、132 件の真ん中の値で +8.3%、金額の合計で +12.9% 高く売れています。売却益の多くは、物件の値上がり(含み益)を現金に換えたものでした。

一方で、鑑定評価を下回って売った件は 10 件あり、そのうち 7 件が日本リート投資法人(3296)でした(−3〜−15%)。売却益に頼っているかを見るときは、「鑑定評価より安く売っていないか」も一緒に見ると、中身が分かります。

売却益への依存が大きい銘柄の例

出所:各投資法人の有価証券報告書(損益計算書の注記「不動産等売却損益の内訳」と、売った期の 1 つ前の期末の物件表〔期末算定価額〕)をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 7 日)。鑑定評価との比較は、売買契約の後に評価額を契約価格に置き換えた期(19 件)を除いた 132 件

危ない J-REIT の前兆

J-REIT で倒産したのは、2008 年のニューシティ・レジデンス投資法人の 1 件だけです。赤字でも債務超過でもなく、借入を借り換えられずに倒れました。倒産の前には、1 年以内に返す借入が約 44%、LTV が 54.8% で、資金の当てがないまま 277 億円の物件を買う約束をしていました。一方で、格付は倒産の 7 か月前に上がり、分配金も倒産前の期(2008 年 2 月期)は過去最高の 14,954 円でした。

投資口は消えませんでした。約 1 年半後の 2010 年 4 月に別の J-REIT(今の大和ハウスリート投資法人)と合併し、1 口は今の大和ハウスリートの 1.84 口にあたります。高値の 73.7 万円で買った人は、今の価格と合併後に受け取った分配金を合わせて約 40 万円(−46%)です。ただし、再生中の約 1 年半は売ることも、分配金を受け取ることもできませんでした。

出所:東京商工リサーチ(2008 年 10 月)、ニューシティ・レジデンス投資法人 資産運用報告、ビ・ライフ投資法人 説明資料(2011 年)、大和ハウスリート投資法人の分配金の推移(JAPAN-REIT.COM・決算短信で照合)。今の価格は有価証券報告書の月別価格(2026 年 2 月・135,300 円)

この事例と、スポンサー(親会社にあたる不動産会社など)が破綻した 2008〜2009 年の事例から、前兆を 4 つにまとめました。

前兆のチェック(4 つ)

あれば最も強い警報:有価証券報告書・決算短信の「継続企業の前提に関する注記」。スポンサーが破綻した日本レジデンシャル投資法人は、2008 年 11 月期から記載していました。いまの 58 銘柄で、この注記がある銘柄はありません。

いまの 58 銘柄で、4 つのうち 3 つ以上が重なる銘柄はありません。2 つが重なるのは次の 4 銘柄です。

銘柄 重なった前兆
サンケイリアルエステート投資法人
(2972)
1 年以内に返す借入 33.1%/分配金が家賃の稼ぎの 572.3%(2026 年 2 月期に物件の減損で赤字・無配になったため)
いちごホテルリート投資法人
(3463)
価格が 1 口当たりの財産の 0.70 倍/分配金が家賃の稼ぎの 116.4%・売却益 40.7%
グローバル・ワン不動産投資法人
(8958)
LTV 53.2%/分配金が家賃の稼ぎの 120.4%・売却益 48.4%
大和証券リビング投資法人
(8986)
LTV 51.1%/売却益 34.1%

出所:各投資法人の最新の有価証券報告書をもとに当サイトが集計(2026 年 10 月 7 日)。1 年以内に返す借入=短期借入金・1 年内返済予定の長期借入金・1 年内償還予定の投資法人債 ÷ 有利子負債。1 口当たりの財産=(純資産+鑑定評価額と帳簿価額の差)÷ 口数。家賃の稼ぎ・売却益は直近 4 期の合計。前兆が 1 つの銘柄は 19、0 の銘柄は 33、決算期が足りず計算できなかった銘柄は 2(3476・401A)

前兆が重なった銘柄で、その後に起きたこともあります。サンケイリアルエステート投資法人には、2026 年 10 月 7 日時点で 2 回目の公開買付け(1 口 125,000 円・期間は 11 月 10 日まで)が行われています。

前兆とは別の、もう 1 つの物差しが、スポンサー(親会社)の信用力です。

出所:スポンサーの格付は JCR の会社別ページと R&I の発行体検索(2026 年 10 月 7 日取得)。いちご BBB+(JCR)・平和不動産 A-(JCR)・SBI ホールディングス A-(R&I)・アパホールディングス A-(JCR)。いちごホテルリート投資法人は、有価証券報告書に本投資法人の格付の記載がありません

結局、いつ・どの銘柄を買えばいいのか

いつ値上がりするか、いつ底を打つかは、誰にも分かりません。そこでこの記事では、どの銘柄を選ぶかは「4 つの手順」で、いつ買うかは「値段の物差し」と「買い方のルール」で決める方法をまとめます。

銘柄を選ぶ 4 つの手順

  1. 何のために持つかを決める
    守り(分配金を安定して受け取りたい)なら、分配金のぶれが小さい物流・住宅・オフィス。攻め(ぶれを受け入れて、回復と伸びを取りにいく)なら、家賃の一部が売上に連動するホテル
  2. 用途と分配の安定度で絞る
    J-REIT タブで用途を選び、「分配の安定度」が A(直近 10 期に減配が無い)の銘柄に絞ります
  3. 借入の重さで絞る
    LTV が 58 銘柄の真ん中の値(46.8%)以下の銘柄に絞ります
  4. 前兆が無いかを確かめる
    この記事の「危ない J-REIT の前兆」の 4 つに当てはまらないかを見ます

守りの例で絞ると、2026 年 10 月 7 日時点で次の 9 銘柄が残ります。物流・住宅・オフィスの 24 銘柄 → 安定度 A で 18 → LTV が 46.8% 以下で 11 → 前兆が 0 で 9 銘柄です。表は純資産倍率の低い順(財産に対して安い順)に並べています。

銘柄 用途 LTV 純資産倍率 参考利回り
SOSiLA物流リート投資法人(2979) 物流 43.6% 1.16 倍 4.85%
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471) 物流 38.1% 1.20 倍 4.59%
CREロジスティクスファンド投資法人(3487) 物流 44.6% 1.26 倍 4.56%
大和証券オフィス投資法人(8976) オフィス 46.8% 1.29 倍 4.44%
森ヒルズリート投資法人(3234) オフィス 46.1% 1.30 倍 4.43%
ジャパンエクセレント投資法人(8987) オフィス 43.8% 1.32 倍 4.10%
日本プライムリアルティ投資法人(8955) オフィス 43.4% 1.50 倍 3.90%
日本プロロジスリート投資法人(3283) 物流 40.3% 1.57 倍 4.12%
日本ロジスティクスファンド投資法人(8967) 物流 44.2% 1.95 倍 4.45%

出所:当ツールの J-REIT データ(2026 年 10 月 7 日)。純資産倍率と参考利回りは有価証券報告書の月別の投資口価格(銘柄により 2025 年 11 月〜2026 年 7 月)で計算した値で、今の価格とは違います。前兆は記事の 4 つの前兆の判定。LTV が 46.8% 以下で前兆が 1 つあり外れたのは 2 銘柄(3466・8952)

住宅がこの一覧に残らないのは、LTV か安定度で外れたためです。

攻めのホテル 5 銘柄は、手順 2 の「安定度 A」が 1 銘柄しか残りません。星野リゾート・リートとインヴィンシブルはコロナ禍の減配が直近 10 期に入って C、ジャパン・ホテル・リートと霞ヶ関ホテルリートは期の数が足りず安定度が出ていません。ホテルは安定度ではなく、借入の重さと前兆で見ます。

銘柄 LTV 前兆 安定度
星野リゾート・リート投資法人(3287) 40.8% 1 つ C
いちごホテルリート投資法人(3463) 46.8% 2 つ A
霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A) 46.4% 決算期が足りず計算できない 出ていない
インヴィンシブル投資法人(8963) 49.2% 0 C
ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985) 46.7% 0 出ていない

出所:同上

いつ買うかは、予想ではなく次の物差しで決めます。

買ったあとは、決算のたびに冒頭の 3 つ(用途・分配金を何で払っているか・借入の重さと借り換えの近さ)を見直します。

ここからは書き手の考えです。金利が上がっているいま、不動産は逆風を受けていて、これから業績が低迷する J-REIT も出てくるかもしれません。それでも私は、家賃の稼ぎで分配金を払えていて借入に余裕のある、堅実な銘柄を買うにはとても良いタイミングだと感じています。買うときは、平時のうちに候補を絞っておき、市場全体の下げで一緒に下がったときに、決めておいた条件に達したら機械的に買うようにしています。その考え方は「高配当株の買い増し・押し目買いで私が大切にしていること」に書きました。

私なら、この 5 つを 1 口ずつにする

ここまでの物差しで、私ならこの組み合わせにします。分配金の安定した守りの用途(物流・オフィス・住宅)を土台にして、伸びを取りにいく攻めのホテルを 1 つだけ混ぜます。用途を 4 つに分けておけば、1 つの用途が不調でも全体は崩れにくくなります。

表は横にずらすと続きが見られます

役割 銘柄 1 口の金額 参考利回り 決算月 支払い月 選んだ理由
守り・物流 三井不動産
ロジスティクスパーク
(3471)
120,400 円 4.59% 1・7 月 4・10 月 58 銘柄で借入の重さが最も軽い(LTV 38.1%)
安定度 A・前兆 0・JCR AA
守り・物流 SOSiLA 物流リート
(2979)
125,650 円 4.85% 5・11 月 2・8 月 守りの 9 銘柄で純資産倍率が最も低い(1.16 倍)
親会社は住友商事(R&I AA-)
守り・オフィス ジャパンエクセレント
(8987)
149,900 円 4.10% 6・12 月 3・9 月 オフィスでは借入が軽め
安定度 A・前兆 0・LTV 43.8%
守り・住宅 アドバンス・レジデンス
(3269)
171,650 円 3.74% 1・7 月 4・10 月 住宅は 2 年ごとの更新で家賃を見直せる
売却益の 7 割強を積立に回し、積立は分配金の約 2.7 期分
JCR AA
攻め・ホテル ジャパン・ホテル・リート
(8985)
84,350 円 6.00% 12 月 3 月 家賃の一部が売上に連動し、利払いの伸びに家賃の伸びがほぼ追いついた唯一の用途
前兆 0・JCR AA-
合計 5 銘柄・各 1 口 651,950 円 約 4.49% 2〜4 月・
8〜10 月

出所:1 口の金額と参考利回りは当サイトの J-REIT データ(有価証券報告書の月別の投資口価格。2025 年 11 月〜2026 年 1 月の値で、今の価格とは違います)。合計の利回りは金額で重み付けした参考値。支払い月は各投資法人の決算短信・公式サイトの分配金情報と、株配当データベース(kabuhai-db.jp)の支払開始日の一覧(2026 年 10 月 7 日確認)。LTV・前兆・格付は本文の表と同じ

アドバンス・レジデンスだけは、借入の重さが 49.2% で、上の手順 3(LTV が真ん中の値の 46.8% 以下)から外れます。それでも入れるのは、住宅は家賃を見直す機会が多いことと、売却益を分配金に回し切らずに積み立てている方針を評価したからです。外すと合計は 480,300 円になります。

5 銘柄の分配金は、2 月・3 月・4 月・8 月・9 月・10 月の 6 か月に分かれて、年に 9 回入ります。

この組み合わせは、値上がりや分配金が続くことを保証するものではありません。

J-REIT タブで、自分の銘柄を見る

当ツールの J-REIT タブでは、58 銘柄の用途・年間分配金・分配の安定度・参考利回り・投資口価格・LTV・純資産倍率・稼働率・分配金の 5 年前比を一覧で比べられます。

J-REIT タブの「おすすめの順番でしぼる」を押すと、用途・安定度・LTV などの条件が順に重なり、各段で何銘柄が残ったかが出ます。この記事の手順どおりに絞るときは、4 段目の「5 年前と比べて +20% 以上」を「使わない」に切り替えてください(用途は 1 つずつ選びます。前兆はツールの条件に入っていないので、記事の表で確かめてください)。

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純資産倍率は、投資口の価格を帳簿上の 1 口当たり純資産で割ったものです。この記事の前兆で使った「1 口当たりの財産」は含み益を足したもの(鑑定評価ベース)なので、ツールの純資産倍率より低く出ます。分配金を何で払っているかと、借り換えの時期は、各投資法人の有価証券報告書と決算説明資料で確かめてください。

数字を読むときに気をつけること

家賃の決まり方の出典(有価証券報告書の原文)
数え方と限界

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。当サイトは金融商品取引業の登録を受けておらず、投資助言を行うものではありません。数値は執筆時点で取得したデータに基づく概算・参考値です。J-REIT は元本割れの可能性があり、分配金は不動産市況・金利・稼働状況等により減少または無配となることがあります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

公開 2026-10-07/書いた人:ねんりん